アーティスト名
落合陽一
会場
東京シティビュー(六本木ヒルズ 森タワー 52階)GoogleMapで開く

「風景と質量と:6.結晶と光」

僕はメディア装置の表現が好きな理由は,作家の個の消失とコンテンツなき抽象性にある.それはコンテンツ性に頼らず機能的な主体を取り戻し,鑑賞者に追体験させるメタ機能だ.それは文脈とビジュアルデザインの無間地獄が作るパズルゲームを超えたものに思えたのだ. メディアアートの制作で,風景の一つとして過ぎ去っていく瞬間と瞬間が物質性を伴って現象に変換され,その展示自体も風景にされて行く.一連のプロセスを感じながら過去に変換することが好きだ.アナログな身体と物理現象の中でそこにあるデジタルを研ぎ澄ます.デジタルでしか見えない世界認識で,失われつつあるものを切り取り,手触りを与えるプロセスを通じ,時間と空間の解像度との対話するときのみ,自己のアナログな精神を実感する.そんな風景とメディア装置に関わる世界認識について,光学定盤のキャンパスの上に詩的なプロセスで切り取り,インスタレーションの連作で表現する. 現実世界で起こる光の屈折とそのボケを通してみる世界に感じる憧憬.ガラスから漂うアナログの空気感,非デジタルの光感覚への憧憬.成長する結晶構造に時間の連続性を感じる.

Credit

落合陽一

Artist Info

落合陽一
落合陽一
メディアアーティスト。1987年生まれ、東京大学大学院学際情報学府博士課程修了(学際情報学府初の早期修了)、博士(学際情報学)。筑波大学デジタルネイチャー開発研究センターセンター長、准教授・JSTCRESTxDiversityプロジェクト研究代表。IPA認定スーパークリエータ/天才プログラマー。2017年〜2019年まで筑波大学学長補佐、2018年より内閣府知的財産戦略ビジョン専門調査会委員、内閣府「ムーンショット型研究開発制度」ビジョナリー会議委員、デジタル改革法案WG構成員、文化庁文化交流使、大阪・関西万博テーマ事業プロデューサーなどを歴任。Prix Ars Electronica、SXSW Arrow Awards、MIT Innovators Under 35 Japanなど受賞多数。写真家・随筆家など、既存の研究や芸術活動の枠を自由に越境し、探求と表現を継続している。落合陽一公式ページ(外部サイト)https://yoichiochiai.com photo: 蜷川実花