2011年3月11日から一年後の2012年3月11日が迫るにつれて、私はいてもたってもいられなくなった。「不謹慎」や「自粛」という言葉が飛び交う日々、その暗澹たる雰囲気を打ち破りたいという衝動から始まったように、今にしては思う。「しゃぼん玉を吹きながら、歩いて家に帰る」は、2012年3月11日から始まった。ーー8年も継続することには勇気も必要だった。時代によって政治は移り、現状は変化する。歩いている場合なのだろうかと自問した。しかし結局9年目を迎えているのは、周囲の人たちがこのプロジェクトを求めてくれたからだった。きたる3月11日に向けて今回の展示では、これまでのドローイングや、記録写真、映像を通して過去8回のプロジェクトの軌跡を振り返る。